2006年04月04日

ストレスとどう付き合うか

よい意味での「手抜き」をすること

 3月は季節の変わり目であり、何かと体調にも留意が必要なときです。また、4月から組織変革や異動などで新しい職場で新しい仕事をする人も多いでしょう。このようなとき注意したいのが心身の健康管理です。さまざまな節目を機に、知らないうちに心身のバランスを崩してしまうことがあります。

「半健康」という言葉があります。健康診断の結果では病気とは診断されないのですが、疲労感や不定愁訴、気分の不安定さなどが続き、心と体の調子が悪い状態を言います。原因は主にストレスだと考えられています。昇進や異動などの変化が起こったとき、職場の環境や条件と個人の能力や性格、価値観などが適合できずに職場不適応となり、さまざまな症状や問題行動が表れることがあります。また、退職や子供の進学、夫婦の価値観の違い、経済的問題、転居など生活上の変化が重なると、その対応に苦慮することで心理的な負担となることもあります。
 こうした転機によるストレスをストレスとして受け止められず、状態がかなり悪くなってから初めて気がつくことがあります。節目を迎えているときこそストレスに早く気づき、うまく付き合うことが危機管理といえるでしょう。
 精密機器企業に勤務しているI氏はマネジャーに昇格したとき、会社の期待に応えるため、早く成果を出すことに注力していました。仕事を家に持ち帰ってまでやっていましたが、自分の思う成果には届きません。以前には感じなかった焦りや違和感を抱き、ますます何かに駆り立てられる思いが募りました。そんな状態が2カ月ほど続いたころから寝つきが悪くなり、食欲も減退。朝刊に目を通す気力もなくなりました。会社に着くと動悸やめまいに襲われ、だんだんと仕事に集中できなくなり、3カ月後には起床できず、会社に行きたくても行けない状態になりました。典型的な「出社拒否(恐怖)症」の症状です。
 実はI氏は昇進による責任の増大、成果の見えづらい業務といった仕事上の変化だけでなく、子供の進学に伴う経済的負担の増加や妻との意見の食い違いといった生活上の問題も同時に抱えていました。I氏は一度に噴き出してきたさまざまな問題のすべてに「うまく対応しなければならない」と奮起し続けていたのです。不眠や食欲減退などは過度のストレスがかかっていることを知らせるサインだったのに、「頑張りが足りないからだ」と思い込み負担をかけていたのです。
 仕事や生活のさまざまな事態に変化が起きた場合、新たな事態にうまく適合できるか、適合できずに心身のバランスを崩してしまうかは、変化から3カ月後くらいが分かれ目となることが多いようです。その間に常態とは違う自分を発見できれば、事態が悪くなる前に対処することが可能です。特に完全主義者的な傾向が強い人には、頑張りすぎは危険信号です。ストレスチェック表(別表)を参考に早くストレスに気づき、よい意味での「手抜き」を見いだすことが心身の健康を保つ秘訣となるのです。

【半健康状態のチェックポイント】
以下のようなことが2~3個以上重なり、2週間~1カ月間続いている方は専門機関にご相談することをお勧めします
●よく眠れない
●食欲が低下している
●酒の量が増えてきている
●ちょっとしたことで緊張しやすくなった
●仕事や趣味に対して興味がなくなってきた
●会社に行くことや人と話すのがおっくうになった
●仕事の能率が下がってきた(うまくいかないと思うことが多い)
●疲れやすく、体のいろいろなところの調子が悪い
●服装や身だしなみが乱れてきている(気にならない)
●「普段とは違う感じ」と気づいているか、周囲の人が感じている