2006年01月30日

【50代の危機管理】 ストレスによる「うつ病」状態から立ち直るには

ストレスで体調を崩す人が増えていますが、ストレスの原因(ストレッサー)には大きく分けて

(1) 化学的要因 ( 騒音、排ガスなど )
(2) 物理的要因 ( 暑さ寒さなど )
(3) 生理的要因 ( 感染、暴飲暴食など )
(4) 心理的社会的要因 ( 対人関係のトラブル、仕事上・家庭上の問題など )の4種類があります。

この中で、はっきりとした原因が分かりにくいがゆえに、気がついたときには状態が悪化していることが多いのが(4)です。
 中堅食品メーカーに勤務していた50代管理職のAさんは、新規事業の立ち上げによる子会社設立の責任者に抜擢されました。決裁権限を持ちながらも親会社の意向が絶対であり、実質はプレーイングマネジャーの立場でした。部下の育成が急務なのに社員研修や採用の専門家は不在で、Aさんの負担は増える一方。労働時間は1日16時間を超え、休日返上も恒常的となる状態が約2年続きました。Aさんが相談にこられたときは食欲不振、睡眠障害、慢性疲労などの自覚症状があり、細かいことが考えられないという状態でした。これは「うつ病」の前兆でありよくない状態です。
 Aさんは私に「もう何もかも投げ出して辞めたい」と訴えられました。しかし同時に、退職してこれまでと同じような給与条件で再就職するのは難しいことも理解されていました。会社を辞めるに辞められず、親会社の過大な要求と部下の身勝手な行動の板ばさみの中で、責任感の強いAさんはもがき苦しんでいたのです。
 そこで、私が「今の仕事をする上で、何があったら楽になりますか」と問いかけると「専門知識を持った部下」との答えが返ってきました。「退職するにしても採用権限を活用し、求人広告の出し方・採用基準の変更を試してみてからにしてはどうですか」とアドバイスすると、Aさんの表情はパッと明るくなりました。本当に今の状況を変えることはできないかを考え、「何かが変わるのなら」という希望を持つことは、性急な決断を防ぐ手立ての一つです。
 責任感の強い人は過度のストレスを感じると、自分がどのような状況に置かれているかも分からなくなり、他人の言動をすべて真に受けやすくなる傾向があります。何かを変えたり試すという考えが持てず、一切が決定的に思えてきます。そんなときは、まず今の状況にいたった経緯を時間を追って整理し、自分が置かれている位置を確認することが大切です。そうすることで、人間関係となすべき事柄の優先順位に新たな視点を持つことが可能となります。
 それにはカウンセリングなどを利用する方法が有効です。専門知識を持つ第三者に話すことによって、状況を整理しやすくなるのです。
 今の自分に「できること」と「できないこと」を分け、「変えられること」と「変えられないこと」を整理することで、自分が処理すべき仕事が見えてきます。抱え込みすぎないことが、健全な状態を保つ秘訣といえるのです。